コモド島の観光公害(オーバーツーリズム)




コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)で有名なインドネシアのコモド島。ずっと続いていた立ち入り禁止の議論がようやくまとまったそうです。

島は、観光客が年間で10万人以上訪れる人気スポットになっていました。観光公害(オーバーツーリズム)といって、観光客が増えたことによって宿泊施設が必要になる。そうすると施設を建てるために生物の住みやすい環境が破壊されていく、という悪循環が起こっていたようです。

加えて密猟、密輸が発覚して乱獲の恐れがあることも原因の一つになったようですね。観光料金を値上げして、観光客を抑制しようという議論もあったようですが、結局、2020年からの立ち入り禁止を決めたようですね。

観光収入を失うということですから、なかなか簡単にできる判断ではなさそうですが、コモドドラゴン保護に舵を切りました。

コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)とは


コモドドラゴンは、恐竜みたいな姿をした全長2~3mの巨大トカゲですが、ちょっと変わった生物ですね。ある研究では、メスが単為生殖することが明らかになっていますね。

捕食するだけでなく動物の死骸も食べるので、口の中には数十種類の細菌がいるそうです。これに噛まれると、敗血症になって死に至るとのことですね。最近になって、死に至るのはドラゴンが持っている毒(ヘモトキシン)のせいだとする説も発表されているようです。

またある研究では、コモドドラゴンの血液中の抗菌ペプチドから人工的に作成されたDRGN-1が抗生物質に耐性のある緑膿菌や黄色ブドウ球菌の増殖を抑制したそうです。これから新薬の開発に使われるとのことですね。

生物をなぜ絶滅させてはいけないかというと、その生物だけが持っているような特性があるからだそうです。人類のためにも、そういう特性をできるだけ残しておかなければいけないというような話を聞いたことがあります。

カブトガニの話がよく知られていますね。カブトガニの青い血液は、試薬として毒素の有無を検証するのに使われています。もしもカブトガニが、絶滅してこの世にいなかったらということになるわけですね。

自然というのも難しいですからね。放置してありのままにしておくといいか、というと必ずしもそうとは言えない場合があり、適切な管理をしてこそバランスが保たれるということがあります。コモド島もぜひ島に合った自然の回復をしてもらって、コモドドラゴンの数がこれからどんどん増えていくといいですね。

コモド島民2000人が強制移住を迫られる


8/26に続報が入りました。なんとなんと、当局が島民2000人の強制移住を発表したということです。これは、ちょっとやりすぎなような気がします。多くの農民は公園に土地を奪われ観光業に職を変えたのに、今度はまたそれを奪われてしまいますね。島民から、反対の声が上がっているということですがどうなるのでしょうか。

Youtubeの豊橋ドットテレビの動画で、島民の人たちが、のんびりピクニックをしていましたけど、かれらが全員島を追いやられるなんてひどい話ですね。

最終的には、島を一大高級リゾート地に生まれ変わらせると説明しているとのことです。青い空、透き通った青い海、ピンクビーチ、もしもコモドドラゴンの保護を口実にして、こちらのほうを優先させるのだとしたら、残念なことです。

コモド島は、1991年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されています。世界遺産に登録されれば、世界中から観光客がやってきます。こういうことがなければ、島民の人たちも、ずっと静かな暮らしができていたかもしれないと思うと、複雑な思いがしますね。